学会長挨拶
日本歯科衛生学会
学会長 藤原 奈津美
このたび、2025年6月より日本歯科衛生学会長を拝命いたしました藤原奈津美です。前学会長の吉田幸恵先生よりバトンを受け、その責任の重さを深く感じています。
2006年に創設された日本歯科衛生学会は、日本歯科衛生士会の中に置かれ、歯科衛生士の実践に根ざした学術研究、成果の発表および普及、啓発等を推進しています。具体的には、学術大会の開催、学会雑誌の発行、歯科衛生臨床研究助成事業を担っています。
学会に参加する動機はさまざまです。
研究発表をするため、興味のある演題や講演を聞くため、普段は会えない仲間と再会するため、企業展示で新しい情報に触れるため…。どれも大切な動機であり、学会の魅力のひとつです。しかしながら、学会活動は当日限りのものではありません。発表者は、日々の歯科衛生活動をもとに発表資料を作り、共同演者と相談しながら内容を練り、何度も発表練習を重ねて臨みます。また、他の発表演題や抄録に目を通すことも学びの一環です。学会に向けた旅の準備や現地での楽しみもまた、貴重な体験となります。
学術大会への参加は、学び続ける力を支え、日々の歯科衛生臨床実践の質を向上させ、ひいては人々の健康と福祉に貢献する糧になると考えます。多くの方々に積極的に日本歯科衛生学会へご参集いただき、「参加してよかった」と実感していただける学会運営に努めてまいります。
また、日本歯科衛生学会雑誌は、日々の歯科衛生臨床や研究成果の証を記録する集大成でもあります。今年度の第20巻より電子ジャーナルとして新たな歩みを始め、より多くの会員の皆さまにご活用いただけるよう、広報活動にも一層注力してまいります。
我が国の急速な人口構造の変化や情報技術の発展に伴い、歯科衛生士の活躍の場は大きく変化し、地域包括ケアや多職種連携といった分野において、その専門性と実践力がますます求められています。こうした社会的要請に応えるためには、歯科衛生士の専門性を再定義しプレゼンスをより明確に示す必要があります。そしてその基盤となるのが「科学的根拠に基づいた」歯科衛生臨床の実践であると考えます。昨年度の第19回日本歯科衛生学会学術大会より新たに開催された専門領域別研究集会は、そのような歯科衛生士の専門的探究を推進する場として誕生しました。このたび第2回を迎えることとなり、歯科衛生士による研究活動の一層の充実と深化、そして次世代の研究者の育成に尽力することも学会組織での重要な役割と考えています。
今後とも、会員の皆さまと共に、学会の発展とともに学術を通じた歯科衛生士専門職としての地位向上に尽力してまいります。ご理解とご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。