日本歯科衛生士会

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歯科衛生士・その現場から

歯科衛生士・その現場から

井の中の蛙、大海に踏み出す!

冨所 慶子さん  居宅介護支援事業所まちだ園 新潟県歯科衛生士会

私の勤務する法人は、花火で有名な長岡市の南部地域にあり、特別養護老人ホーム、併設型ショートステイ、デイサービスセンター2事業所、訪問介護事業所、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所2事業所を有しています。現在所属している居宅介護支援事業所まちだ園には、私を含む7名のケアマネジャーが勤務し、現在およそ200名強の利用者さんをサポートしています。

主な業務は、利用者宅を訪問し、心身・生活環境を調査・把握して、その結果と利用者さんや家族の希望に基づいて、できるだけ自立した生活を送っていただけるように、居宅介護サービス計画を作成します。そして、その計画を基に、介護サービスを提供する事業所の方々、市町村などの公的機関、病院、介護施設との連絡・調整を行い、サービス提供状況を把握しながら定期的にモニタリングをし、継続的な管理を行っています。

当法人は、平成18年の介護報酬改定以前から、口腔ケアボランティアの新潟県歯科衛生士会中越支部会員と交流を図っていましたが、現在は、3名の歯科衛生士が非常勤として利用者さんの口腔管理を行っています。特にデイサービスでは、積極的に口腔機能向上に取り組み、私はケアマネジャーとして、居宅介護サービス計画作成時やモニタリングの際に、非常勤歯科衛生士とも連携を図り、利用者さんのQOLの向上に一役を担えるよう活動しています。

失敗から学んだこと

私は学生時代から、要介護高齢者・有病者の方々に係わる歯科衛生士になりたいと考えていましたが、なかなか希望通りにはいきませんでした。歯科診療所に勤務していた平成14年、母校の歯友会歯科技術専門学校(現:明倫短期大学)でケアマネジャー受験対策講座(歯科衛生士の先生方自らもケアマネジャーの資格を取得し、歯科衛生士のケアマネジャー育成に力を注いでおられます。)が開かれていることを知り、思いきって参加してみることにしました。半年間、非常に密度の濃い講習を受講させていただいた結果、初の挑戦で試験に合格することができ、実務研修を経てケアマネジャーの資格を取得しました。その後も、3年間は歯科診療所に勤務していましたが、縁あって現在の職場から声を掛けていただき、「夢に向かって一歩を踏み出すことができれば」と、転職を決意し介護の世界に足を踏み入れました。

しかし、当然のことながら希望だけではうまくいかないことも多く、失敗も沢山してきました。例えば「歯科の大切さを多くの人に解ってもらわなければ!」と、一生懸命になりすぎて、事業所のスタッフに煙たがられてしまったことや、自分自身が「良かれ」と思って、利用者さんや家族に勧めたことがかえって負担を増やして、迷惑を掛けてしまったこともありました。仕事をすればするほど、どうやって利用者さんや家族を支えていけばいいのか、自分は何をしたら良いのか、泥沼にはまってしまったような重い気持ちになりました。

そんな折、尊敬している方々から2つのことを学びました。1つ目の言葉は、上司に教えていただいた「『プロクルステスのベッド』になるな!」でした。(『プロクルステスのベッド』とは、プロクルステスという山賊が、捕らえた人間を自分が用意したベッドに寝かせ、そのベッドの大きさにぴったり合えば命を助けるとしながらも、わざと合わさずに、身体を引き裂いたり、足を切断したりして結局は殺してしまう、というギリシャ神話から、自分の基準を相手に押しつけたり、問題が起きた時の原因を相手のせいだけにしてしまったりすることの例えとして使われています。)

2つ目は、介護保険制度の基礎を築いた武蔵野大学の佐藤信人教授の「ケアマネジャーは人と人とを結びつける『接着剤』のようなものです。決して『サービスを組み合わせる』のでなく、サービスを行う『人々』を結びつけ、人々の『力』を結びつけるのです。(中略)ケアマネジャーは時として『自分一人でがんばってしまう』ことがあるのかもしれません。(中略)一人では何もできない弱くて非力な存在であることを大事にしましょう。」の言葉でした。この2つの教えは現在、私が冷静に利用者さんや家族・事業所のスタッフと向き合っていくための、心のお守りになっています。歯科の世界で「井の中の蛙」だった私が、大海に踏み出し、ケアマネジャーという職業につけたことが本当に良かったと今は、感じています。

今後に向けて

介護の世界に飛び込んでから、早4年目に突入しました。毎日、いろいろな出来事に悩んだり、喜んだりしながらも、高齢者や有病者とかかわれる仕事をやりたいという自分自身の夢に向かって、これからも向上心を持ち続けがんばっていきたいと思っています。

今は、ケアマネジャーとしての業務が主であり、歯科衛生士として現場に参加できない歯痒さを感じることもしばしばですが、認定歯科衛生士を目指して、学会や勉強会に参加したり、平成20年から、新潟大学大学院医歯学総合研究科に社会人入学し、研究活動を通して歯科衛生士としてもスキルアップできるよう挑戦を続けています。それは自分が、歯科衛生士を基礎資格とするケアマネジャーであり、間接的であったとしても、歯科衛生士として自覚と誇りを持ち続け、要介護高齢者や有病者の口腔管理に役立ちたいと言う想いが自分を奮い立たせているからだと思います。

まだまだすべてにおいて中途半端で未熟者ですが、いつかは歯科医療と福祉の架け橋になれる歯科衛生士を目指して歩み続けたいと思います。

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